コスモスの秘密 理科研究室新聞
編集:小県東部中学校
理科教科会


 道ばたや河原など、信州のいたるところに見られるコスモスの花。秋、かなり遅くまで花が手に入ったり、身近なところにあったり、栽培が容易であるなど、理科教材としても魅力的な植物です。しかし、コスモスに関する文献や研究物はほとんどありません。理科の植物教材に使えるかもわからない状態です。そこで、東部中学校理科教科会では、このコスモスについて、理科の教材として利用できるか「花のつくり」「細胞分裂」「花粉管」「蒸散量」など調べてみました。強くて、身近な植物コスモスの秘密をあばいてみたいと思います。
コスモスのプロフィール
原産地:メキシコ 双子葉類:キク科 合弁花 非耐寒性一年草
高さ:1.5〜2.0m 花の径:6〜8cm 花:舌状花と管状花 葉:2回羽状
開花時期:夏から秋 開花期間:寒い地方>暖かい地方 さし芽でもふえる 和名:アキザクラ(秋桜)
注:黄色の花のコスモスは別の種類でキバナノコスモス(メキシコ原産)といいます。(あかね書房「牧野太郎植物記4」より)


1.花のつくり

 コスモスの花は、まわりに8個の舌状花がならび(写真ではピンク色の花びら)、中央には黄色い管状花がたくさん集まっています。舌状花は実をむすばず、実をむすぶのは管状花です。

 つぼみは丸く総包(内側の総包)でつつまれています。指でつぶすとすぐ破れ、甘い汁がでてきます。つぼみのまわりに星状につきでているのが外側の総包です。つぼみをつつむ膜状の総包と星状の総包は2列に並んでいて、もとの部分はくっついています。   
 コスモスの舌状花は、ハチやアブなどの昆虫を引きつけるような色彩を持っています。したがって、コスモスは虫媒花だと思われます。花粉は主に昆虫によって運ばれ受粉されるものと思われます。


2.めしべ

 
めしべ
は上の写真のように、先がふたつに分かれています。タンポポのめしべに似ています。
 
めしべ
を拡大すると左の写真のように、毛がたくさん生えています。毛についている小さな粒は花粉です(撮影:原田 昇)。
 


3.おしべ

 管状花の花びら(黄色い部分)の先からでている黒い部分がおしべだと思われます。一番先の部分には花粉(黄色い粉)がたくさんついています。
 左の写真がおしべではないかと思われます。めしべを巻いている雄しべの先は写真のようにとがっています(撮影:原田 昇)。

 この写真は、おしべの根元の毛です。細胞がひとつずつつながってできています。原形質流動の観察に使える可能性があります。


4.花粉(花粉管)

コスモスの花粉は、金平糖のような形をしています。顕微鏡撮影装置で150倍で撮影(撮影:原田 昇)。

 花粉を寒天培地(寒天パパを使用)において観察したところ花粉から突起がでてきました。花粉管はでてきませんでした。顕微鏡撮影装置にて600倍で撮影(撮影:原田 昇)。


5.葉(葉脈・気孔・蒸散量)
 コスモスの葉は、細い針金のような葉ですが、ふつうの双子葉類の葉の、葉脈だけが残ったと考えれば納得できます。葉には気孔がみられますが、表皮が容易にはがれてよく利用されるツユクサに比べて、細長いです。表皮をはぐのもなかなかたいへんです(中学生にはむずかしい作業です)。
 コスモスの気孔は、左の写真のように細長い形をしています。顕微鏡撮影装置で150倍で撮影(撮影:原田 昇)。

 参考のために、ムラサキツユクサの気孔(上の写真)を見て下さい。はるかに見やすく、表紙もはぎやすいです(撮影:原田 昇)。
コスモスの蒸散量
 コスモスの蒸散量はたいへん大きいです。9月10日のAM7:30〜AM10:30までの3時間の測定で、コスモスの葉1cuあたり、1時間に0.042cc蒸散しました(正確に言うと水を吸い上げました)。この値は以前東部中学校の科学部で調べたヒメジョオンやアマドコロの値の6倍近くに達します。発達した根の水を吸う能力が大きいものと思われます。また、植物全体がみずみずしい感じがします。吸い上げた水分は、すべて蒸散というのではなく、体全体に蓄えているのかもしれません。メキシコの高原という乾燥地で生まれた植物です。サボテンのように水分を蓄える機能が発達しているのかもしれません。


6.茎

 左の写真が茎の断面の顕微鏡写真です。赤インクもよく吸い、道管の観察をするには最適です。茎がかたいので、うすく切るのは生徒たちにとっては技術がいるかもしれません。ニワトコの芯やミクロトームを使うとよいでしょう。
(撮影:原田 昇)。


7.根(細胞分裂)

 コスモスのはとても発達しています。真ん中に主根がとおり、まわりに側根が密にしげっています。太く発達した根が、コスモスの蒸散量の多さにつながっているものと思います。


8.種子(発芽・細胞分裂)

 コスモスの発芽率はたいへんよいです。また、成長も早く、種子をまいてから2日ほどで、左の写真くらいに成長しました。双子葉類だけあって、双葉で発芽しますが、やはりコスモスです、子葉も細長いです。
 なお、コスモスの種子は、左写真のように細長いものですが、その場に落ちて発芽する仕組みになっているようです。

 種子をまいた翌日、このように発芽します。
 教科書にある方法(塩酸を使用)で、発芽直後のコスモスの根の先端を処理して、細胞分裂を観察しました。染色体の数は、タマネギより多いように感じますが、細胞分裂の様々な段階のものが観察できました。顕微鏡撮影装置600倍で撮影(撮影:原田 昇)。
 中央の細胞では、染色体が両極に分かれているのがよくわかります。また、分裂したばかりの小さな細胞も見られます。顕微鏡撮影装置で600倍で撮影(撮影:原田 昇)。
文献では、染色体数(2n=24)であるが今回の観察でははっきりはしませんでした。


9.育て方

植え時:4〜6月
植え場所:日当たりがよく、水はけのよい場所が適します。したがって、道路端や河原なども最適です。植える時に緩効性の化成肥料を用土に混ぜるとよいでしょう。
水やり:乾燥地の植物ですので、植えてから2週間ほど、乾燥しないように水やりすれば、後は放っておいてよいそうです。たいへん管理の楽な、手間いらずの植物です。
肥料:栽培中に葉が黄変するような場合のみ、株元に化成肥料を施します。




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