コスモスの発芽
編集責任 関谷
 上小理科研究会では、身近で、栽培しやすい植物コスモスの教材化をすすめています。発芽が早く、発芽率の良いコスモスを使って、環境学習ができないかと考え、「さまざまな水質と発芽への影響」を実験しました。

実験開始 2000年4月21日 13:00 気温19℃ 曇り 結果観察 2000年4月27日 13:00 気温21℃ 曇り
実験方法:それぞれのペトリ皿に、蒸留水、水道水、雨水、川の水、雑排水、うすい食塩水、アルコール系の洗剤、石鹸水、うすめた酢、うすめた漂白剤、うすい塩酸、うすめた塩化銅水溶液を入れ、ろ紙を敷いて、コスモスの種子を7〜10粒ずつまきました。その後、ふたをして、直射日光の当たらない室内で発芽の様子を観察しました。


発芽したもの

蒸留水:3〜5,5cm成長。葉は黄色みを帯びていますが、これはペトリ皿の位置により微妙に光の当たり方がちがったことが原因かと思われます。
水道水:1〜2cmの成長。やはり、びみょうな光のあたり方の違いか、子葉が黄色っぽいです。成長がやや悪いのも、微妙な温度の違いではないかと思います(東部町の水道水のためとは考えたくありません)。
雨水:1〜1.5cmの成長。成長が遅く、茎も弱々しいです。また、子葉の発育も悪いです。東部中学校の科学部で、1998年に酸性雨調査をしましたが、4月6日〜7月10日に降った雨の平均のphは5.0でした。したがって、東部町に降る雨は、酸性雨(ph5.1以下)と言えます。後に述べますが、コスモスは芽生えに関して、アルカリにはけっこう強いのですが、酸性に弱いものと思われます。
川の水:2〜3cmの成長。東部中学校北側のケヤキ林(公園)の中を流れる小川の川の水です。成長がよく、子葉も青々としています。phなども調べてみたいです。
雑排水:2.5〜3cmの成長。理科研究室前の側溝の中の雑排水です。2回には美術室もあり、絵の具や石けん、家庭用洗剤、茶がらなどの排水です。溶けた絵の具のために、深緑色をしています。川の水同様成長がよく、子葉もいきいきしています。
うすい食塩水:1cm前後の成長。成長が悪く、曲がりの多い芽生えですが、うすい食塩水でも芽生えるとはさすがコスモスです。コスモスの生命力の強さを感じました。
石けん水:2〜3cmの成長。普通の石けんの排水です。曲がりの多いものも見られましたが、成長はよいです。コスモスはうすい洗濯用の漂白剤でも、わずか発芽しており、アルカリ性には強いのではないかと思われます。
うすめた塩素系漂白剤:3mm前後の芽生え。なんと、コスモスはうすめた漂白剤でも芽生えました。すごい生命力です。漂白剤は、かなりアルカリ性が強いですが、芽生えから成長までいくのか注目されます。


発芽しなかったもの

うすめたエタノール水溶液 うすめた酢 うすい塩酸(約2%)
 うすめたエタノール、うすめた酢、うすい塩酸、うすい塩化銅水溶液に関しては、芽生えが見られませんでした。上の例のように、アルカリ性の水溶液にはかなり強いですが、酢酸や、塩酸など酸性の水溶液には弱いのではないかと思われます。
 
うすい塩化銅水溶液


考察  酸性雨や雑排水などを利用し、コスモスの芽生えを環境学習に利用できないかと考えましたが、酸性に弱いとしたら、酸性雨と、普通の水との比較で「酸性雨の環境への影響」を学習できるものと思われます。
 雑排水につきましては、場所によってとけているものが多様で、排水の採取場所により異なりますが、酸や金属イオン、アルコールなどが溶け込んでいる排水では、コスモスの芽生えを利用して「雑排水の環境への影響」を学習することができると思われます。



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東部中学校理科教科会